技術系弁理士受験生のための
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弁理士になろうとする人の代表的な質問と、私の独断的な回答を掲げます。 弁理士は別に本業に勤しむ必要はなく、税理士さんや弁護士さんのような他の 資格も取ってそちらで活躍しても良いのは当然です。 菅直人弁理士のように国会議員として活躍している方もいらっしゃいます。こ のQ&Aは、このように他で食って行ける弁理士を想定してはおりません。 以下のQ&Aは、質問に対する専業弁理士の私の個人的な回答です。 |
一方、歯医者の側からは、その総数がコンビニの数より多いようでは、せっかく大変なお金と時間を投じて歯医者になったのにペイしないという切実な声が存在するかもしれません。
また、新たに歯医者を目指す人の中には、治療は苦手だけど予防医学の1つとして、電動ハブラシの研究と普及に関与したいと思う人もいるかもしれません。
弁理士の増員は、1万人達成を目標にしているようですが、まだその目標には達成していません。1万人になるのに多少時間がかるとしても、私が弁理士になったときのような2000人レベルに減少することはないのはまず確かです。(弁護士が弁理士を駆逐するとか、世界大戦が長期間にわたって発生して弁理士が食えなくなるような場合はどうでしょうか。)
弁理士を増員しなければないらない理由は、2つあると思います。1つ目は、弁理士という職業が発明という特殊な領域を扱うため、特殊な技能と経験が必要であるということです。ある程度、人員を確保して、その中から適合した人を選び出す必要があります。最初から弁理士に向いた人を選べばいいのではないかとも言えますが、それは困難だし、不当な制限を加えることになるおそれがあります。誰でも受験資格があるし、誰が弁理士に向いているかなんて誰も判断できません。弁理士を目指す側では職業選択の自由があり、顧客の側は弁理士を選択する自由があります。弁理士に向いていない人は、それに気づいた時点で辞めていけばいいというのが1万人計画の一つの現実です。
弁理士を増員しなければならない2つ目の理由は、知的財産について弁理士の活躍する場が広範囲にあり、そこに人材が十分投入されていないということです。たとえば発明に特化して考えてみても、弁理士は特許を取るための業務を行っている者が大半であり、個々の発明の実施化は発明者に一任しているのが現状です。土建屋国家の思想と同様で、兎に角、特許出願をして特許を取る(箱ものを作る)という所まで熱中しているというのが、現在の弁理士かもしれません。
それでは、知的財産の今まで日が当たっていなかった分野に弁理士が大量に進出すればよいということまではいいのですが、弁理士という「免許」だけでそのような仕事ができるとも思えません。それが問題です。
たとえば、特許を取得したアイデアの製品化について援助したいから弁理士になるとある人が考えたとします。でも、それについてアドバイスするには、特許や周辺技術についてかなり詳しい知識と経験がないと難しく、決して新人弁理士の穴場の職域とは言えません。また、新たな仕事の分野であれば、それが最初からペイするかも疑問です。
そこで、質問に対する答えとしては、弁理士が多少増えても自分が弁理士となって食える能力があるかを模索した方がよさそうです。世の中では入社試験に合格すれば、給料の保証がありますが、弁理士に登録しても収入の保障はありません。弁理士の月々の会費も払わなければなりません。
る者です。(019)
Q: これまで約半年の間、弁理士に関する情報を、書籍やインターネットから入手してきましたが、その結論として、弁理士は私の人生を賭ける価値のある職業であると判断致しました。私は特許業界には全くの素人で、特許も読んだことこそあれ、作成したことはありません。しかしながら、このような私でも基礎から教えてくれるといわれる特許事務所がありました。
一日も早く転職したいという気持ちを押えつつ、まだ行動に移っていないのは、『弁理士になって、天国をみるも地獄をみるも事務所の所長しだい』との情報を入手したことにあります。
大変失礼とは存じますが、御存知であるならばその事務所の評判・実状を御教示頂きたく、ご多忙中とは存じますが、宜しくお願い致します。
その事務所とは、『○○』です。
所長殿のお話を伺ったところ、その内容は次の様でした。
(省略)
この事務所に関し私が知りたいのは、
(a)前述の説明内容はいいことばかりであるが、考えられる『裏』はないか
(b)所長の人柄
(c)○○特許事務所の特許業界での実力
(d)経営状況
(e)所員に過酷な労働を強いる傾向にあるか
:本項目、現会社においても午前様が続く日常生活を経験しております。
最終的に行く・行かないの答を出させて頂くのは、もう一度、今度は妻をつれて訪問させて頂いてからにすることと決めています。
その際に、『このような質問をしては』とか、『このような所をチェックしては』という、ポイントがございましたらアドバイス頂きたく、宜しくお願い致します。
A: このような質問を掲載することは最初は考えていなかったのですが、就職を希望する方にとって深刻な問題であるので、あえて取り上げることにしました。
特許事務所は、大きいところで数百人規模の従業員を抱えていますが、従業員が数名でも正式に所員として雇用されていれば、おそらく全事務所の平均値を十分に上回る規模の事務所になります。その点は、司法書士、行政書士、弁護士といった他の士業とある程度共通しています。うろ覚えで申し訳ございませんが、確か家族以外の従業員が1名もいないという事務所が全体の半数位占めているはずです。
したがって、特許事務所はみんな同じ環境であるということはできません。ある程度中堅の企業でさえ、ワンマンオーナが居たりしていますので、特許事務所の性格が所長によって決められる場合が多いのはあたりまえです。ただし、就職先の特許事務所が天国であるか、地獄であるかは、単に就業環境がいいかという捉え方ではなく、自分を育てるには厳しくしてくれる事務所なのかという観点でも捉えてほしいと思います。
私自身の話で恐縮ですが、このホームページを立ち上げたのは求人のためというのが本音です。ところが、他のページを見られると分かるように、この業界は厳しいぞということをしきりに訴える内容になっており、求人をやっているのか、この業界に来ようとしている人を排除しているか分からない内容になっている気があります。これは、自分の人生をかけて応募してくる真剣な人間以外は来てもらいたくないという大変失礼な考えに基づくものです。弁理士試験合格よりも一流の特許マンになる方がよほど難しいはずです。
私は、立派な弁理士になるには立派な先輩に巡り会うことであると考えています。ここで先輩とはそのまた先輩から立派に育てられた弁理士とか特許の道を極めた人です。どのような有能な人でも、立派な先輩に巡り会わなければ自分というソフトウェアを立派な物に成長させるのは極めて困難です。この点は、田舎で法令集だけ入手して一切の参考書も使わずに独力で弁理士試験を受けるか、参考書や弁理士試験の受験機関を活用して弁理士試験を受けるのかという違いに似ています。
ところが問題は、自分が立派になれる事務所はどこなのかという点について自分では分からないことです。弁理士試験でも、どれを基本書にするかを初心者の自分が判断できないでしょう。合格する位の時期になると、どの本が自分にとっていいのかが分かるようになりますが。人間は個々に個性があるし、適応性も違います。将来の夢も違います。したがって、自分の理想とする事務所は各個人によって異なるはずであり、どの事務所がいいよとか、どの弁理士が理想像だよということは誰も言えないし、また就職しようとしている人が面接位で分かるはずがないと、私は思っています。
ただ、多くの立派な弁理士さんの意見を総合すれば、鍛えてくれる事務所、ある意味では地獄に見える事務所があなたを立派にしてくれる事務所と思います。やる気がないのは来るなというようなキャッチフレーズで私の友人の弁理士さんが求人をしていたことがありますが、そのような事務所に死に物狂いで挑戦してくると、私たち弁理士も大変喜びます。
したがって、特許業界でのその所長の実力や事務所の経営状態などは就職に際して全く考慮する必要はないでしょう。自分の実力が伸びれば顧客は他の事務所に出していた分までも、あなたに仕事を指名してくるわけですから、経営状態が悪い事務所でもその内容は改善するはずです。技術も分からないひどい人が入ったので事務所がぐらつきそうにならない前にその人を解雇したという話は多く語られているところです。
技術系の事務所でその事務所がどのような仕事をしているかは、たとえば特許庁の電子図書館で検索することで、調べることができます。会社から信頼の厚い事務所ならそれだけ難しい仕事を委任され、こなしているはずです。そういう意味のチェックは自分とか技術に詳しい友人の協力を得て、実現可能です。いずれにせよ、自分が名声を勝ち取るという士業本来の目標を持って、若いときは難しく困難な、あるいは割の合わない仕事をして自分を特許事務所で大いに鍛え上げてほしいものです。やさしい技術ばかり扱っている事務所は確かに就職しても仕事が楽ですが、他人にその仕事を奪われる可能性もあります。弁理士の数が今の倍以上になったときに廃業しないでよい事務所選びが将来の地獄を見ないために重要と考えます。
(2005.10追加)弁理士の大幅増員が行われています。弁護士も同様で、これは質の高い弁理士等に対する需要が高まってくるということです。弁理士試験に毎年多くの人が合格するようになりましたが、弁理士として最低限の仕事ができる人が合格しているというのが大前提ではないでしょうか。その意味でも、自分の力を引き出してくれる事務所を探して、立派な弁理士になってほしいと思います。
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(018)
Q:このホームページでは“技術系弁理士”という言葉が何度か出てきますが、弁理士にはいくつかのタイプがあるのでしょうか?
A: 非常に難しい質問ですね。自分では意識しないで技術系弁理士と表現していましたが、弁理士は外から見たとき実は、技術系も法文系もないのです。明細書を書くには理科系的な色彩が強く求められますから明細書を書いたりこれを処理する人を対象としたという意味で私は技術系弁理士と表現しています。
それでは商標や意匠を担当する人は何なのでしょうか。発明は技術思想に関係するから技術だけど、裁判まで行くと法文系だというのも、理屈が通りそうですが、発明の実体が分からない法律家がそのような事件を担当できるのかといわれるとそれも正論です。結論から言えば、技術も法律も双方を顧客の求めに応じて駆使できる人が弁理士としての理想像です。
弁理士試験に合格したとたんに一人前の弁理士が登場するのではありません。弁理士試験はその人が何ができるかということとほとんど別物なのです。弁理士でなくても長年弁理士として生活している人と同等の実務能力を有している人もいます。弁理士に受かって何も実務ができないで、そのうち弁理士登録を抹消するという方は、今後の弁理士増員と共に急速に増加すると思われます。
文科系の学校を出ても苦労して電気を学び、また日々の明細書を一生懸命書き込んで電気出身の弁理士さんかと間違うような弁理士さんもいます。理科系の弁理士さんも実務で生じる法律に対応できるように日々頑張らねばなりません。
もちろん、高度化された社会で一人の弁理士がすべてに精通するのは不可能です。そこで自分の得意な分野を表示するのは好ましいことと思います。
ここで誤解してはならないのは、得意な分野とは大学のどの学科を卒業したということではなく、どの分野の仕事を一人前に行うことができるかということです。当然に、それは自分自身の努力と実務経験がものをいいます。特許事務所は弁理士という有資格者が責任を持って顧客のために仕事をする場所です。弁理士以外のスタッフがどんなに優れていてもその仕事を監督指導しこれに対して責任を負うのは弁理士自身です。したがって、その事務所の弁理士が対処できないような仕事は、たとえ弁理士でないスタッフが優秀であったとしてもその弁理士の得意な分野(あるいは自分はどのタイプ)として表示できないことは当然です。
(017)
Q:私は,平成11年に大学卒業後直ぐに浪人して弁理士の受験生活を始めた者です。
学生時代から勉強を始めていましたが,そのころは資格を取れたら即仕事ができるもの と思い浪人生活に入ることを決めました。
しかし、当ホームページで記載されていたり、某掲示板でも議論されていましたが、実務と受験勉強のギャップがあり例え弁理士になったといえど将来的に保証され ているものではないといったことが分かり、改めて自分の考えの甘さを認識しました。
したがって,自分としては,いち早く実務に携われるように特許事務所への就職を考えています。
そこで質問ですが,今の自分のようなものが特許事務所に就職する際に,持ち合わせておくべき心構えや,知識などは有るのでしょうか。それともやはり新たな道を模索すべきなのでしょうか。
また,事務所への就職の際に多枝試験合格の実績というのは考慮されるのでしょうか。
A: 弁理士制度が大きく変わりつつあります。極論すれば今までは弁理士試験に合格しさえすれば会社で課長職が約束されたリ、事務所の跡取りになってしまうことは不可能といえない状況でした。受験生というだけで厚い待遇を受けることも可能でした。
これからは弁理士がじゃんじゃん増えます。しばらくたってみたら、特許事務所の所員はみんな弁理士で、弁理士受験をしている人は要らないなんて事務所も登場しかねません。表に出てこない人よりはクライアントや特許庁と直接渡り合える人がいいのは当たり前です。
では弁理士であれば誰でもよいのかというと、そうではありません。昔のように受かった人の半分も生き残らないという時代が直ぐ到来するでしょう。弁理士に何のためになるの、という当たり前の考察が必要になると共に、自分が弁理士としての仕事に向いているのかどうかを真剣に考えてみる必要があります。
多肢試験合格者は一昔前までは弁理士試験に合格する可能性のある人ということで、ただの受験生よりは貴重な存在でした。改めて考えてみると、実務ができないとすると、彼らの活躍の場は、特許事務所で特にありません。受験に膨大なエネルギと人生の有効な日々を費やすという無駄は、早急に解消されるべきであり、受験自体がやさしくなるのは大歓迎です。まず弁理士試験より難しいと思われる実務を学ぶこと、これが大切です。
そこで、ご質問の特許事務所に就職する際に、持ち合わせるべきものという回答は、どれだけ会社あるいは発明者に歓迎される力量をもっているかということでしょう。私のホームページでも主張していますように、弁理士として生き残る力を若いうちに持つことが大変重要です。ピアノにせよ英会話にせよ、プロになるには若いときに鍛えておく必要があります。事務所で実務をやってみて、能力が見出されれば受験を頑張り、能力が見出されなければ弁理士以外の他の分野の仕事を探すのがよいでしょう。
(016)
Q:私は理系の学生で弁理士の勉強をしています。就職は企業の知的財産部にしようと思っていて、弁理士試験にも数年後には合 格するつもりでいます。企業の知的財産部で特許の仕事の経験を積んで、自分に弁理士としての適性があると判断したときは、 50歳前後で特許事務所に転職しようと思っています。しかし、特許事務所の求人広告を見ると、ほとんどの特許事務所が年齢 制限が35歳以下になっています。弁理士の資格があり、それなりの明細書作成能力があれば、50歳前後で特許事務所に転職 することは一般的に可能でしょうか?
A: なかなか堅実なお考えです。実は私が弁理士になった?年前にはこのような考えでもよかったようです。このころは、知財部(当時は特許部といういいかたが一般的でした。)のある程度偉い人が定年退職するときに特許事務所に再就職することも行われていました。特許事務所所員として仕事ができなくても、その人の給料分は会社が余計に仕事を出して、新しい人にその仕事をやってもらい、事務所側も発展するという考えです。
企業(顧客)から仕事をもらっている弁理士も、年齢が進んで難しい仕事ができにくくなると、今までの業績を認めて企業は易しい仕事に切り替えてくれました。
このような従来の世界は、企業とこれに対して信頼性で結ばれている特許事務所とは家族であり、互いに助け合うということを前提としています。また、特許の仕事もそれほど複雑ではなく、特許事務所側は仕事をもらえれば簡単に人を増やせる状況でした。更に、特許事務所やそのスタッフの量が企業の需要とバランスの取れた関係にあったために、企業も特定の特許事務所に頼らなければならないという関係にありました。持ちつ持たれつの関係です。このような状況の下では、若いころ弁理士として企業で頑張って、ある程度年になったら特許事務所に勤めたり、その企業の支援の下で特許事務所を経営することは比較的楽でもあり、企業やその弁理士にとっても望ましい一形態であると考えられていました。
ところが、技術の高度化で企業は今、仕事のできる弁理士を一生懸命探さなければならなくなりました。すべての弁理士が食べていけるようにその会員数を現状のように制限していると、企業は発明を理解し擁護する優秀な弁理士を見つけ出すことが困難です。また、司法書士、医者、弁護士といったライセンスで生活している専門家が相次いで合格定員を増やして競争社会に突入しているのに、弁理士だけが会員数の増加を拒絶することも困難です。もっと弁理士の数を増やし、その中から仕事のできる弁理士を選びたいという社会のニーズは日増しに高まっています。現在4000人(2008.3.31時点で自然人は7732人となっています。)の弁理士を10000人に増加させよという主張が社会から公然と出てきています。弁理士の合格者数も、もうすぐ一年で200人、300人という時代に突入するのではないでしょうか(2005年論文式合格者数738名となっています)。
このような時代に弁理士が自分の地位を築いたり、あるいは生活を確保するための一手法としては、自分の能力を特化させるということだと考えます。他の弁理士よりも優れているであろう能力を企業に売っていかなければなりません。たとえば私の事務所では、ソフトウェア等の漠然とした技術から発明を抽出する手法と、それを最大限盛り込んで強力な明細書を作成する手法をスタッフに徹底的に教えています。当然ながら脱落組みもあるのですが、今からの時代を生きて十分活躍できる弁理士に成長してもらうのが私たちの企業あるいは顧客に対する責任であり、また信条です。更に、特許事務所で生きる本人の将来のためだと確信しています。事務所あるいは弁理士によって得意とする分野が違ってくるのは当然でしょう。少なくとも、弁理士試験を受かっただけの弁理士は、何の価値もないという時代がもうすぐくるのは確かです。
同様に、弁理士試験に受かって企業に入った弁理士の場合には、企業で生活できる弁理士に特化していく努力をしていくことが当然要求されます。老後は特許事務所に移って活躍しようとする考え方は多少甘い部類に属するのではないでしょうか。大多数の企業の知財部では特許事務所と同じような仕事をしているわけではありませんし、そのような仕事以外の仕事で日々追われている状況のはずですから、特許事務所に入って役立つ仕事を会社でついでにマスターしようと思うのは多くの場合非現実的です。
企業の弁理士として一生を送るために企業に真剣に勤めるか、企業の弁理士が自分の能力に適合しないのなら、さっさと会社を辞めて若いうちに特許事務所に勤めるか独立するかのいずれかではないでしょうか。ただし、会社を辞めた方が収入が多くなるとか弁理士として生きていける保証はありません。会社の方が知的財産についてのいろいろな仕事があり、自分の適性にあった仕事を見つけ出す可能性は一般に大きいと言えます。また、最終的には弁理士という肩書きと無関係な部署で生きていくことも可能です。
今からは弁理士が大量に生産されて供給過剰になる時代が確実に到来します。また弁護士が弁理士の登録を行なって、商標等の分野に進出する可能性や、外国の特許事務所が日本に進出する可能性も現実のものとなりつつあります。自分の能力や自分のやりたいことを考えて、充分に身を引き締めて特許事務所側の世界に入られることをお勧めします。
(2005.10追加)
弁理士が1万人になる計画は、大変いいことだと、電車の中でふと考えてしまいました。まず、比較的簡単に弁理士になれることになったので弁理士の子供が弁理士になるということも簡単になります。次に、いいだけ弁理士の人数が増えるので、実力のある人間だけが生き残ることになります。結局、社外弁理士の場合には、弁理士という仕事にある程度生活の見通しが立てられる人だけが受験するものだということが社会で十分認識されるようになって、諸外国のように特許にある程度キャリアを有する人間が弁理士になるという時代が来るのではないでしょうか。
ただし、それまでの間は、弁理士になったものの、実務に適応できなくて脱落するというあわて者が多少でるかも知れません。実力のある人が受験に多大な時間を費やしていた、従来の受験制度による時間の無駄はなくなると思います。
(なお、特許事務所に勤める際の年齢の問題にいては各所(たとえばQ14)に説明していますので、説明を省略します。)
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(015)
Q:質問1)
弁理士試験の多枝試験の自己採点は、どのように行えばよいのでしょうか。
先日、某セミナー発行の新聞に、 自分の答えの番号を写してくると書かれていたのですが、 写すための紙切れとか持ち込むことは許されるのでしょうか。
なお、昨年の試験では、当然、何も持ち込むことは許されないでしょうから、 とりあえず覚えられるだけ、覚えようと思いました。
しかし、さすがに無理があり、各予備校から集めた解答を入手したときには、 記憶も大分薄れ、困り果てました。
質問2)
勉強時間の確保等の観点から、特許事務所への転職も考えたりすることもあります 。
その際、給与については、生活設計上重要な問題ではありますが、 現給からある程度は減るのは当然のこととは考えてはおります。 先日、特許事務所の求人広告で、はじめて給与に関する具体的数字を見る機会があ りました。その事務所での求人対象は、特許担当(登録手続、異議、無効、審決取消訴訟、侵害訴訟、鑑定)で、完全実力主義で年収350万円以上とのことでした。 私の感じたものよりは、やや低い数字でした。どうなのでしょうか。
A:質問1については受験時代が遠い過去になりましたので、記憶が薄れ返答できません。
質問2についてお答えします。
何を基準として給料が安いと感じるかが問題です。特許事務所は売り上げの何割を給与として獲得できるかがある程度確立している業界です。もちろん、その方の仕事の質が当然問題になりますが。
あなたがよい仕事を行って1000万円以上売り上げがあるというならその事務所の給料は安いといえますが、未経験者にとって最初は何もできないはずです。大きな問題は何年たっても仕事ができない人がいっぱいいるのです(昨今は経済事情が厳しいのでそのような人は多額の給料を要求していれば直ちに事務所から追放されるかもしれません)。
その事務所の広告に「侵害訴訟、鑑定、……」と書かれていたとしても弁理士でない貴方がそのような重い責任の仕事を行えるわけでもないでしょう。
明細書なんてすぐ書けるものだとお思いなら、弁理士になる張り合いもなければ、大金を払って仕事を出す人もいないはずです。
実力主義の社会に入りたいと思って弁理士試験を目指す人が、なぜ前職の給与を気にするのでしょうか。前職の給与のままでいたいのなら転職しないのが一番確実です。私の友達の息子さんがある有名な写真家のもとで写真家になるために2年間働いたそうです。その給与は月に2万円だったそうです。今では有名な雑誌の写真をとっている立派な写真家として成長されたそうです。
弁理士になるために実務を教えてもらうという自己投資の気持ちを持っていれば、給料の額よりも自分を真に鍛えてくれる弁理士を探して就職を行うはずです。立派な先生は教えている間、その人の教育のために大変な経済的な損失を蒙るわけですから、あなたがたが思われるような十分な給与を払えない場合が多いはずです。それでも良心的な弁理士さんの多くは、よい仕事のできる人を次の時代に残すために頑張っています。いい先生を探すこと、それが丁稚奉公的なこの種の仕事にとって一番大切なはずです。
(最近、現在の給与を確保したいとか、失業のおそれがない安定した給与を得たいという初心者から電子メールをいただく機会が多いのです。自立できる資格としての弁理士の本質を見誤っているという気がします。仕事ができないもの食うべからずが弁理士の世界のはずです。)
(014)
A:弁理士試験を始めた動機がわかりませんが、もし特許の仕事に興味を持ったということであれば、現在の会社で試験を受け、合格したら弁理士としてその会社で活躍されるのがベストだと考えます。退職後にその会社の仕事をもらって独立という道もあるかもしれませんし、もしなくても退職までは給与が保証されます。
次に年齢についてですが、43歳で実務経験が無いとした場合、特許事務所側が受け入れてくれるかが大きな問題です。1つは給与の問題であり、もう1つは実務がこなせるようになるかの問題です。実務経験が無ければ仕事ができず事務所の売上に寄与しませんから、それにもかかわらず事務所で働かしてもらうとすると、給料は現在よりも大幅に低下するかもしれません。仕事ができないのに給料の額にこだわると、バブル時代の銀行の不良債権と同様だとして事務所から放り出されるということにもなりかねません。また、若くて能力のある人が職を求めてきたとすれば、そのような人のほうが給料を払いやすいし、仮に不適格で特許事務所から去ってもらうにしても本人にはまだ人生をやり直すチャンスがあるので、そちらの方が雇いやすいということになります。実務についての適格性については、このホームページの技術系弁理士の実体的要件を是非ご覧ください。
最大の問題は、ある程度の年齢で特許事務所に就職した人が実務がこなせるようになるかということです。実務がこなせるようになれば弁理士試験に合格しなくても特許事務所で十分生活はできます。ところが、これも一般的な話で恐縮ですが、40歳を越えた時点で実務を習得しようとすることはかなり無謀ではないかと考えます。私が弁理士会のソフトウェア委員会に所属していたときに、35歳以上は実務開始が不可能なのかなあと酒の席でぼやいたことがあります。そしたら、35歳って甘いよ、30歳以上は年齢的にだめだよという強烈な意見が返ってきました。発明というものを理解しプロとして表現することができるようになるための入門の年齢は、この方のおっしゃった通りかも知れません。
私個人は、特許事務所に就職して実務を習得する理想の年齢について、製造会社で3〜5年勤務した後の25歳〜28歳位ではないかと考えます。これよりも若くて大学を出たてというのも、実際の技術を知らなくて理論だけだという意味で、なかなか実務を習得できません。大学院を博士まで出た人も、その後に会社で技術を習得することを考えると年齢的には不利になりそうです。もちろんこれは一般的な話です。大学院で実験器具を常に自分が作っていたとか、アルバイトで回路設計を行っていたというような人なら、特許事務所にいきなり入ってきても発明を理解できるかもしれません。
(2005.10追加)
大学院卒がむしろ普通となった高学歴社会では、私の理屈は奇異に取られそうですので、少し釈明します。私の理屈は自称「すし屋理論」です。大学を出てすし職人になるのは遅すぎるという意見があります。これと同じで、人間の各種の仕事は、必ずしも高学歴を必要とせず、若く、脳みそ等の各種の成長期にその目的とする世界に入った方がよい場合も多いのです。弁理士という仕事も多分にそういう要素があります。弁理士は科学技術の最先端を取り扱う職業なので、最先端の技術を大学や大学院で習得した人でなければならないようにも考えられがちです。
ところが、学校で習った最先端の技術は、実社会に出てみれば昨日の技術である可能性が高いのです。1つの技術分野に多くの知識を持っている研究者タイプの人よりも、フラットな知識を基にしてどの分野にも突っ込める応用力を持っていることと、頭のフレキシビリティがある人が重要です。私が勤務弁理士だったときの所長は、弁理士の要件として雑学の大家という表現を使っていました。何でも薄く知っていることと、何でも興味を持つことです。これは、生半可な知識で明細書を書いてよいということではありません。発明を理解し明細書を書いている瞬間は、その技術分野の専門家に近い知識を有することが必要です。そのためには、どのような技術分野の技術でも論理的に短時間で理解していく探究心と理解力が必要です。
化学以外の分野で発明を理解するということは、ある意味の仕掛け(技術的なトリック)あるいはインベンティブステップがどこにあるかを理解することですから、単に知識を詰め込んだだけで、脳みその劣化が始まりかけた高学歴人間では、発明の現場で太刀打ちできませんよといいたいのです。人間をそのような応用力のある場に置いて、脳みそを強制的に活用できるようにするためには、たとえば20代前半といった脳みそを大改造できる若い時代に発明の現場に飛び込むことが必要かなと思っています。
(013)
A:会社はなんで苦労して実務のできない弁理士の面倒を見なければならないのかという話はちらちら聞きますね。
でも弁理士会も、現状ではこのような弁理士を本格的に教育し直すための強制または矯正機関を備えていません。弁理士としての最低限の実力があることを前提として弁理士試験を受けていることを前提として、弁理士の登録を行うシステムのはずですから。まさか、飛行機のパイロットになった人に、飛行機を操縦できない人はいないはずです。
もちろん、弁理士会は研修機関を備えていて、弁理士の質の向上と時代に即応する弁理士の育成に努めています。しかしながら、発明を理解し、これを的確に抽出したり表現するという多くの弁理士にとって必ず必要な「基本的なエンジン部分」は、年にわずかの期間だけ、しかも任意に参加する研修でマスタするものではなく、弁理士になる以前の特許事務所等での過酷な実務の経験にあると思います。いわゆる、長い下積みの時代が必要なのです。
バブル時期までは、弁理士だけでなく、たとえば電気を出た人は明細書を書ける書けないに関わらず仕事がいっぱい飛び込んだようです。電気を出ていれば、事務所で高給にありつけたわけです。高給にありつけなければ、事務所を転々と渡り歩く人が多い、とある受験機関の経営者が当時の電気系の明細書スタッフについて嘆いていたことは今でも印象的です。会社の書いてきた明細書原稿をほとんどそのままタイプして、自分は立派な明細書作成者だと錯覚した人も多かったと思いますし、そのような人の一部が弁理士となって同様な仕事をしたり、同様なスタッフを育てているかもしれません。もちろん、あくまでも推測ですが。
私は、今から弁理士の淘汰の時代が来る(もうきてきる)と考えています。
それと同時に会社も報酬との関係で弁理士に選ばれる時代が来ると思います。
つまり、均一報酬ではなくて、その人の能力と成果に応じた報酬が支払われるようになると思います。
弁理士試験に受かっても、いつまで経っても下手な明細書しか書けない人は、弁理士を辞めなければならなくなるかもしれません。弁理士は一層、自分の仕事に磨きをかけなければなりません。また、これと共に、いい弁理士を見つけようとしない会社や、報酬を下げることだけに熱心で、よい仕事をする弁理士をできない弁理士と一緒に扱う会社は、優秀な弁理士が逃げていくか、それ相当の弁理士が定着することになると思います。
何も弁理士会が弁理士を本格的に再教育する必要はなく、会社には選択する権利があります。会社は優秀な弁理士を見つければよいわけです。今から、弁理士試験はますます大変になって、昔より優秀な人材が輩出されるでしょうから、会社はその気になればその中から優秀な人をジャンジャン見つけることができると思います。
(2005.10追加)
ボリビアでジープで旅行したとき、そのうちの一人がアメリカの医学部の学生でした。将来は十分経験を積んで外科手術を行えるようになるのが夢だと語っていました。日本の医療システムでは経験も適応力も一切チェックせずに医者に手術をできる権限を与えているので、多くの医療事故が起きるのではないでしょうか。弁理士制度も同様の問題をはらんでいました。
弁理士の大増員が行われており、また、弁理士に支払う料金も法律で決められるものから、当事者が自由に定めるものに移行しました。弁理士の職域も知的財産の認知度の向上に伴って拡大しています。私たち弁理士が知的財産を守るプロとして一層の努力をすることで、弁理士制度を需要者の視点に沿ったより良い方向に進行させていけると信じています。
(012)
A:私に限らず、私の知っている多くの弁理士さんがそう思っているようです。現に新卒者はお断りといっている事務所もあるようです。夢と希望に燃えた学生の方に水を差すようですが、大学をでたてのときは、本による知識があるだけで、実際の回路や機構に根ざした発明に関する書類を見ても何がなんだかさっぱり分からないようです。私も新卒者を過去に何名か入れたことがありますが、共通して技術を理解できないようです。例えば特許公報を読ませて従来技術と本発明の違いを述べさせると、ほとんどそれすらもできません。レール(法則)に敷かれた学習しかしていない者にとって、実際の雑多な技術からレール(発明の原理)を自分で見つけ出す事は、極めて大変なことなのです。
特許事務所は、技術を一応マスタしたものが、その基盤をもって発明を操る場所だと思います。企業に入っていろいろな回路や材料、デバイスを実際に扱っていくと、その過程で人は実に多くの知識と経験を得ます。これが発明を頭で具体化できる力を養うことになります。この力は、産業上利用できる発明の理解やその発明の強化を行う際に重要な力となります。すなわち、皆さんが大学や大学院で勉強している間、会社の人も実際の技術について勉強をしているのです。
発明はある意味で現場から生まれます。現場を知らずにただ本だけ読んだ頭で事務所に入所すると、すべてが紙の上の話として処理されてしまいます。従来技術の問題点や発明のポイントも理解しにくいでしょう。大学や大学院をでて、そのまま会社の研究機関に入って純粋に研究ばかり行った方も、同様に特許事務所にはいると大変な苦労をされると思います。
大学院で高度の知識を得たので、そのまま特許事務所に入所して役立てたいと思う人もいます。ところが、この知識は狭い範囲のものなので、各種の技術を扱う弁理士にはほとんど役に立ちません。審査官や特定の研究者になるためには大学院は有効でしょうが、街の弁理士になるにはあまり必要ではないと思います。それどころか、博士課程まで出てしまうと、年齢が高くなってきますので、それから企業に入っていろいろな知識を得てから特許事務所に就職しようとしても、事務所にくるべき適正年齢をオーバーするといった事態が発生することもあります。
もちろん、何事にも例外がありますので、新卒者が特許事務所にいきなり入って成功する可能性はあります。でも、発明が生まれる土壌としての会社に青春の一時期を過ごし、研究者として発明を提案しあるいは弁理士と接する時代を持つことは、発明者そのものを理解する上でも大変有効ではないでしょうか。
それから、新卒者は独身であることが多いので、その身軽さゆえに特許事務所の頭脳的なハードスケジュールについて行くことができない場合が出てきます。また、いきなり特許事務所に勤めると、親が反対して連れ戻すという場合もあります。一流企業の方が親にとって安心だからです。
(補足説明99.6.6)
良心的な仕事をする特許事務所では特許技術者の生存率はおそろしく低いものです。企業に勤める方が生存率ははるかに高いと思います。いろいろな職種があり、その中に自分に適応するものがある可能性が高いからです。企業に勤めて発明をし、自分の発明を手伝ってくれる会社の弁理士や特許事務所の弁理士を見ながら、弁理士になった方がいいか検討されるのもよいと思います。相談すれば、担当の弁理士さんは一緒に考えてくれるのではないでしょうか。
ただし、自分が事業を起こすのと同様に頭と体の自由度が効くうちに人生の次のステップを踏み出すことが必要です。
(011)
(時代の変化により回答不要となりましたので削除します)
(010)
A:特許管○士は民間の資格であり、例えば××評論家とかいう人がテレビに出たりしますが、そういうのとある意味では同じであり、法律的な裏付けはありません。
弁理士は国家試験による国家で認定された資格です。正確に言うと行政関係の最もランクの高い資格であり、行政書士の資格も同時に取得できるのはそのためです。特許管○士は、民間が決めた資格のため、法律に基づいて弁理士の専業とされた仕事はやることができません。発明学○にお金を払っているから、何か儲かっても よさそうですが、民間資格である以上、なんともいえません。また、今は自由にできる仕事でも、例えば一般の第三者を保護する観点から弁理士法が改正されて弁理士の専業とされると、特許管○士あるいは他の民間資格の方はそれを業として行うことができなくなります。特許管○士が何をすることができるのかは、発明学○の方に相談して下さい。
例えば、明細書を業として書くのは弁理士の仕事ですので、特許管○士が他人のために業としてこれをすると法律に違反することになります。せっかく、弁理士を目指しているのですから、「特許管○士」は忘れてしまった方がよいのかも しれません。
ただ、特許管○士がすべて無用の存在ともいえません。私の知っているある会社では、営業マンに特許管○士を積極的にとらせ、技術の管理に関する認識を高めるために役立たせています。そういう意味では特許に直接関係しない職場で他人に迷惑をかけない範囲であれば有効な資格かも知れません。
「特許管○士」という名称を名刺に刷り込んで配布すると、他人が国家資格保有者と勘違いして特許の仕事を頼んでくる場合があるかも知れません。特許を全く知らない人にとっては弁理士と紛らわしいので、第三者の利益を守る意味からも名刺には「特許管○士」と積極的には書かない方がよいかも知れません。もちろん、弁理士が「弁理士」と書いた名刺を第三者に渡すとき、その責任は重いというべきでしょう。
なお、発明学○は、「知的所有権登録」商法に関与しているといわれています。この「知的所有権登録」商法における「知的所有権登録士」、「知的所有権管理士」等の民間資格に騙されて高額な手数料を請求されただけでなく、特許になるかもしれない技術が、これらの民間資格者の行為によって駄目になってしまうという被害にあわれた方もいらっしゃるそうです(弁理士会平成9年7月31日発行「「知的所有権(著作権)登録」商法の実態」より)。ある種の民間資格には、十分注意していただきたいと思います。
( 追記 1998.10.7)
「特許管理士」の登録商標が無効審判(昭和63年審判第5376号)で登録無効になりました。その理由は、「弁理士に類似する名称と解され、これをその指定商品に使用することは、弁理士法が弁理士でない者の弁理士に類似する名称の使用を禁止していることに違反し、ひいては、特許制度の利用者である一般の国民が特許管理などの専門家である弁理士に寄せる信頼を害することになる……」とするもので、公序良俗違反(商標法第4条第1項第7号)に該当するとされました。
(補足説明99.6.6)
弁理士が特許事務所だけでなく企業にも十分供給されば、このような紛らわしい資格が問題になることも少なくなるでしょう。
(2005.10追加)
この種の民間資格の問題も、弁理士の増加で解決したと思いたいのですが、本年、あるデパートで弁理士会による特許の相談を引き受けたところ、1日の相談のうちの2件で発明を著作権登録した事例がありました。発明の保護にならないこのような行為に目を光らせると共に、弁理士の過当競争で、単に事務処理の合理化という名目で、代理人という基本を忘れた安かろう悪かろう式の特許出願が出現するおそれに対しても十分監視する必要があります。
(009)
A:大変難しい問題です。私自身ソフトウェアの特許出願を多く手がけていますが、プログラミングの知識はありません。(このホームページもプログラムを知らないでも書ける各種のソフトを全く無秩序に使用して作成しています。)ときどき、プログラミングのための言語を使用したことを特徴とする特許出願を扱うこともありますが、プログラムの影に潜む原理を探り当てる作業を行います。これが発明の抽出です。大変難しい作業です。
このような場合に、発明者のいうとおりあるいは提案書に書いている通りに明細書を書いていけば、それは著作権の内容を書いていることで、発明を説明していることではない場合が多いのです。ソフトウェアの本を買ってきてその内容を明細書中にバンバン書いて充実した内容にしたといった話を聞いたことがありますが、それは強い特許権を得るために有効な作業であったかは大いに疑問です。ソフトウェアの各ステップの詳細をいくらていねいに書いても、技術思想を書いていかなければ、権利に幅がでないからです。
ハードウェアについても同様で、例えばペンティアムの200メガがどうだとか、スカジボードがどうだとかいうことは特許出願と無縁といってもよいくらいです。現実的な技術あるいはソフトウェア等から技術思想を見つけ出す力が必要です。
もちろん、コンピュータがどうして動くのか、またソフトウェアとは何なのかという本質的な理解は十分に必要です。それと、ハードウェアについては、回路やタイミング図がいっぱい登場してもこれらを理解して、その内部に潜む技術的な価値を見つけ出す力あるいは迫力も必要です。大学や大学院を出たばかりの方が特許事務所にいきなり入所しても役に立ちにくい一つの大きな原因がここにあります。
(008)
(007)
A:事務所にでかけずに家庭のみでできる仕事がないとはいえませんが、長時間集中力を要求される仕事が多いので、子供を育てながら家庭で夜なべでやるという性格の仕事はあまりないと思います。
秘密を要求される仕事なので、企業によっては家庭に仕事を持ちかえったり、在宅勤務で仕事をするのを禁止しているところもあります。
(006)
A:できるなら、まず企業に入って発明者とか研究開発者という経歴を積んでいただいた方がベターであると思います。その方が、企業(発明の現場)の特許出願に対する考え方を知ることが出来ますし、また発明発掘現場の研究者等の雑多な知識も得ることができます。
(005)
A:技術系でないので、本ホームヘージの範疇外ですが、あえて答えます。発明というのは複数の技術が融合したものが多いのです。学校に行っても専門書を始めから読んでも、取り敢えず分かるのは1つの発明の全体の理解に必要な技術のほんの一部分だけです。これでは結局のところ、その発明を理解できないことになります。
回路や機構を理解すると共に、それらの誤動作を発見したり、技術の変形可能性までも頭の中で思いめぐらせながら明細書の作成や権利範囲の判断が行われます。そのような高度な仕事は何年経っても任せられない場合が多いはずです。
したがって、あなたがある程度技術全般を理解できるレベルになるまでは、明細書を作成したり、その中間処理をさせてくれる事務所はあまりないでしょう。技術系の会社に就職して、働きながら技術を学んだ後に再度、明細書の作成の仕事にアタックするのも1つの考え方です。
(004)
A:差別されません。ただし、女性の場合にはいつハッピーエンドで退職するか分かりません。すなわち、本人がいくら頑張るといっても、旦那様の勤務地等との関係で仕事を続けられなくなる可能性が高いのです。明細書の作成のプロになるには5年も10年もかかります。その間、事務所では教える一方の場合もあります。
結婚しても仕事を続けられる人でないと、一人前に成長する前に辞めることになり、事務所に迷惑を掛けただけで退職ということになる可能性が大きくなります。このような理由から、特許事務所の所長さんの中には就職をOKするのに躊躇する人もいると思います。
(003)
A:昔、弁理士仲間でこれが話題になったことがあります。知ってる弁理士さんがお通夜に意見書を書いたということです。弁理士は親が危ないから期限を延ばしてもらうということはできません。発明を導入した製品の発表も特許庁の期限も、自分の都合とは無関係に進行します。
例えば、月曜日期限の意見書や補正書の作成の指示が直前の金曜日にあったりすると、土曜日や日曜日は仕事に費やすことになります。企業の方も忙しくて、弁理士に対する指示が期限ぎりぎりになるということも多いのです。したがって、1カ月先の土曜日と日曜日に家族旅行をしようかなと思っても、それができない場合もでてきてしまいます。
(002)
A:人間は怠け者で、発明が生まれるのも楽をするためのものともいえます。事務所にいるというだけで給料をもらえるとしたら、弁理士試験の苦労が多少報われるかもしれません。しかしながら、弁理士はその個人の信用あるいは経済的な価値を主張する資格です。
Xという弁理士が亡くなられてYという弁理士がその仕事を受け継ぐと、一般にお客の3割から5割は他の弁理士に逃げてしまうということです。ということは、大多数の客が逃げようと思うということかも知れません。それだけ、弁理士の仕事は個々の弁理士に直接依存する個性の強いものであるということになります。弁理士という資格だけ利用しても年収は得られないと思ったほうがよさそうです。
(2005.10追加)
弁理士の平均年収を見る限り、サラリーマンと比べてそんなに高いものでもありません。一生懸命働いても、給与はサラリーマンよりも低い場合も多いでしょう。私の合格した時代でも、現実の給与レベルがわかって特許事務所への就職を断念した人が何人もいます。特に、結婚して家族がいる人は、会社を辞めて給与が低下することは重大な問題です。私は専門が通信関係で多少の実務ができるということで特許事務所に勤めた方では良い給料でしたが、辞めた会社の給料の方がよほど良かったです。弁理士という責任と仕事の充実度を重視すべきではないでしょうか。もちろん、将来は儲かるぞという夢も必要かもしれません。
(001)
A:まず、〇〇万円貰えるかは、特許事務所におけるその人の実力を見ない状況では判断できません。会社によっては、明細書の作成者をうまく育てているところもありますが、そうでないところもあります。また、会社の理想とする明細書と事務所の理想とする明細書は必ずしも一致しないと思います。
事務所では明細書としてのスタイルあるいは見てくれが多少問題となりますが、会社では内容が盛り込まれていれば十分とする考え方もとることができます。また、事務所では提案された内容は、たとえ枝葉と見れるようなところでも補充していって、提案書に書かれた内容が欠落したことによる責任追求がないようにしなければなりませんが、会社では発明者の提案で必要としない箇所はバッサリ削って効率化を図ることも場合により可能です。
また、事務所では明細書をいつまでたっても書けなければ、明細書作成者という地位や経済的な基盤を奪われることになりますが、会社ではそのような実力主義(個人主義)としての環境はあまりないのではないでしょうか。したがって、外では通用しないレベルの明細書を作成している人でも全体としての調和から、そのままその地位を温存されている場合もあると思います。
私も会社のとき明細書を書きましたが、それが色々な意味で不備なものであったことは外に出て知ることができました。特許の部門で書いた明細書を外部の弁理士を経て出願するような場合に、訂正がないから良い明細書が書けたと確信することはできません。大切なクライアントの出願担当者の作成した明細書は、訂正するよりも褒めたほうがよいかも知れませんから。
ということで、会社で明細書を書いていたとしても、それが事務所において幾らの給与に相当するかは、事務所で働いてみなければ分かりません。事務所での明細書の作成が全然駄目で事務所を追い出される者もいると思いますし、会社での雑務がなくなっただけ、良い明細書を書けて、かつ事務所でより多くの件数を処理できて給料が大幅アップする人もいると思います。駄目になった場合には、元の会社と同一給与で会社に再度就職できるとはかぎりませんので、転職は自分の能力を冷静に評価して慎重に行ってほしいと思います。
私の答えられる範囲内の素朴な質問を歓迎します。
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